16世紀のヴェネチアはそれは魅力的な都市であったに違いない。今見てもため息の出るほど美しいたたずまいもその理由の一つだが、当時東洋と西洋の貿易の中心都市として栄え、富をふんだんに蓄えていたということ重要な要因である。そこにはまた、特徴的な建築物や第一級の美術品などもあり、さらには、イタリアの他の地域からの独立を守るために組織された強力な海軍の庇護もあった。サン・マルコ寺院の大聖堂は、広場に面して開かれており、公的行事の中心地であった。期待どおりの荘厳さを確実に実現するために、行列の様やその序列は法令でに定められていたし、伴奏音楽は、超一流でかつ求められた機能を適確に果たせる様式でなければならなかった。 教会の階廊はその頃には交唱聖歌に使われていたけれども、最高5クワイヤまで用い（cori
spezzati）、重なりやリズムの効果を加えてそれを音楽的に利用したのは、ガブリエリが初めてと言ってもよいだろう。 1597年にガブリエリはSacrae Symphoniaeというタイトルの大作を発表した。ピアノとフォルテのソナタはこれから取られている。2クワイアからなるこの作品は、重要な歴史的意義を持っている。つまり、音楽的な効果を狙って強弱を示した曲としては、ごく初期の部類に属するということである。通常、オリジナルの楽器編成も、曲に示されており、この曲では、コルネット（トランペットとリコーダーの中間のような楽器。）1本とトロンボーン3本で第1クワイア、ヴァイオリン（現在のヴィオラに近いもの）1本とトロンボーン3本で第2クワイアを構成することとされている。 収録の演奏では、8パート全てを倍管とし、壮麗で豊かに仕上がっている。目を閉じれば、この曲をバックに催されたであろう、にぎにぎしい行列の様子がありありと浮かんで来るのである。 −THE LONDON TROMBONE SOUND曲目解説より
デュボワ(TritonFrance:8'04")
フランス南西部のタルン県で生まれたデュボワは、トゥールで音楽の基礎を学んだのちパリ音楽院に入学し、ダリウス・ミヨーに師事した。フランス楽壇への登竜門と目されるローマ大賞を1955年に受賞したほか、1964年にはパリ音楽大賞も与えられている。 えてして実験的な曲作りに手を染めがちな同世代の作曲家たちの中にあって、デュボワはたしかな調性感にもとづく作曲法の伝統を守った。 1963年に刊行された「トロンボーン四重奏曲」からは、この楽器の美質を引き出した音楽の自然な流れと、書法の緻密さが感じられる。オリジナルのフランス・トロンボーン四重奏の貴重な一曲である。 -FRENCH MUSIC FOR TROMBONES曲目解説（余田安広）より ピエールマックスデュボワはパリ音楽院で学び、1955年にローマ大賞を受賞している。彼の音楽には、ダリウス・ミヨー、ジーンフランソワ、セルゲイプロコフィエフの影響が認められる。デュボワは、特に、管楽器のためのアンサンブル曲をよく書いた。この作品を聴くと、彼のトロンボーンという楽器の可能性に対して幅広い知識を誇っていたことがよくわかる（この楽器のテクニックの可能性、響きの可能性などは、20世紀に入って飛躍的に向上したのである）。第3楽章のコラール様の部分では、最高の音質と、たしかな音程が要求される。そして、それを取り囲むそれ以外の楽章は、技巧的なパッセージに彩られているが、決して、わざとらしくなく仕上がっているのである。 -FRENCH MUSIC FOR TROMBONES曲目解説（Ulrich Dieckmann）より
ジョージ・ガーシュインの作品のメドレーです。世界的に有名なクラシックのグループ「スローカー・トロンボーン・四重奏団」が演奏し、いわゆる「クラシックのトロンボーン界」ではポピュラーな曲です。 （編曲はDenis Armitage） 曲目はThe Man I Love→I' Got Rhythm→It Ain't Necessarily So→I
Got Plenty Of Nothing→Summertime→S' Wonderful→Rhapsody In Blue -Kenji Nishiyama Self Portrait曲目解説より
The Man I Love私の好きな彼（ひと）
1924年に作曲されたミュージカルLady Be Goodの挿入歌で、ガーシュウィンの最高傑作。「緩やかな、しっとりとした旋律、それは決してたくまぬ旋律であるが、ほのぼのと暖かいあこがれをたたえた美しい曲である（野川香文「ジャズ楽曲の解説」）」 「「いつの日か、私の好きなひと（＝王子様）がやって来る」」
